歯のかみ合わせの治し方
かみ合わせとは下あごを上あごに向かって閉じてくる行為自体をさす場合と、口を閉じた状態で上下の歯の接触関係をさす場合とがあります。
皆さんはかみ合わせというとやはり歯、にとても着目しその並び方や見た目を気にされるかと思います。
しかし実際には噛み合わせには歯だけではなく、顎を動かす筋肉、上あごと下あごの間にある関節および神経などが関与しますので、そのうちのどれか一つに問題が生じてもかみ合わせに問題が生じます。
特にヒトのあごの関節は単純に回転運動だけではなく、前後左右にも動くことができ、複雑な機構です。
これが元で歯ぎしりや食いしばりといったトラブルが生じやすい環境にあります。
正常なかみ合わせってどういう状態?

通常は歯1本に対して歯2本がかみ合っています。(1歯対2歯咬合)。
また簡単に羅列すると
・歯の上下左右が対称
・前歯の重なりが2㎜~3㎜である (水平的にも垂直的にも)
・上顎第一大臼歯の近心咬頭と下額第一大臼歯の近心咬頭がきちんと噛み合っている
などです。
日常生活ではなかなか自分が正常なのかどうかもわからないですし意識することもないと思います。
しかしかみ合わせは、咀嚼、発音、外観、姿勢などに関与しますのでとても大切です。
歯のかみ合わせが悪いとどうなる?

前述の通り姿勢など全身の機能にも影響を与えますが、ここではあごの不調を引き起こす一つの原因である顎関節症について少し解説していきます。
顎関節症の具体的な症状としては「開閉口障害」「開け閉めで音が鳴る」「関節の痛み」などです。
開口障害は、口がうまく開かなかったり閉じにくい状態です。手の、中指と人差し指の2本をくっつけたとき、その2本の指の幅よりも開かない状態を、開口障害と呼びます。 クリック音(顎がカクカクする感覚)と関節の痛みは、「関節円板」がずれることなどが原因で起こります。
顎関節症についてはまた別に取り上げて行きたいと思います。
関節自体には問題がなくとも、噛み合わせが原因で顎関節症になる場合もあります。 例えば、「左右アンバランスになっている」、「噛めていない歯がある」、「一部だけ強くぶつかっている」というケースです。こうしたケースでは、まず歯の治療をする必要があります。 噛み合わせを治療したうえで、それでも顎関節症が改善されない場合は、マウスピースなどの治療に入っていきます。
また虫歯で抜歯した、歯周病があるなど、一生の中で口の中も様々に変化していきます。
この様にかみ合わせが変化すると、上下の歯の接触点数が減少するので咀嚼の能率が悪くなります。咬合接触点数が減少していると、接触のある歯だけに咬合力が集中してしまうことになります。さらにそれらの歯の支えが弱くなっている状態(歯周病)にあれば、通常のかむ力によっても大きな問題が発生します。また前歯のかみ合わせが悪くなると発音がしにくくなったり、話す時に唾が飛んだり、唇が閉じにくくなったり、口が渇いたり、見てくれが悪くなったりする場合があります。、歯が1本抜けたくらいでは大したことないかと放っておくと症状もなく知らず知らずのうちにかみ合わせが悪くなってしまいます。
大きく噛み合わせが変わってしまってから元に戻したり健康な状態に戻すことは非常に困難です。
噛み合わせの治し方

①歯の位置を変えていく、矯正治療
②歯の形を変えていく、削って変える咬合調整、付けたり被せて変える補綴治療
③抜歯した部位に噛むところを新しく作る、欠損補綴治療
大まかに分けるとこの様になると思います。
いずれの治療においてもまずはどんな状況なのか、どこが異常なのかを診査、診断しそこから治療の選択肢を検討していきます。
さいごに
必ずしも治療のゴールは教科書通りの理想の状態にすべて治療する、という訳ではありません。
その方に合う噛み合わせを模索して相談の上治療していきます。
噛み合わせについてまずはどんなことでお困りなのかお話を伺わせてください。