自宅でできる予防歯科について
治療と予防
治療:虫歯や歯周病になった時にそれを治すことです。
予防:病気の発生を防いだり治療が長引かないようにしたり、重症化しないようにリハビリなどを行うことです。
予防は一次、二次、三次と細かく分かれます。
一次予防とは
生活習慣の改善、健康教育、予防接種などにより健康増進を図り、病気の発生を防ぐことをいいます。言葉としては一番イメージしやすい部分かもしれません。一般的に予防という用語だけで使われるときは一次予防を指すことが多いです。
例)風邪予防

これら風邪予防は、風邪をひく前に、邪をひかないように予防する。ということです。
二次予防とは
発生している健康異常を健康診断や検診などによって早期発見、早期治療をして病が重症化しないように行われる処置や指導です。
例)ガン検診

がんはとても身近な病気です。あなたも私も、「がん」にかかる可能性があります。
けれど、医学のめざましい進歩により、検診などで早期に発見された場合は、治る確率も高く、しかも軽い治療で済むようになってきました。
三次予防とは
すでに病気がある程度進行し、その治療の過程や治療後においてリハビリテーションや保健指導、再発防止をとることで、社会復帰できる機能を回復させることをいいます。
例)リハビリテーション



現在、国が力を入れている政策はフレイル=虚弱対策です。
健康な状態と要介護状態の中間の段階を指します。
フレイルには1身体の虚弱(老化・身体機能の衰え)、2. 心・認知の虚弱(鬱病や認知症)、3.社会性の虚弱(貧困や孤立)の3つがあります。
年齢を重ねるとこれらのダメージを受けたあと回復する力が低下し、生活を送るために支援を受けなければならない要介護状態に変化してしまいます。
「歩かないと歩けなくなる」「たんぱく質を意識してとる」などは一般常識となりつつあります。
この様に予防と言っても様々ありますが、今回は特に一次予防についてまとめたいと思います。
つまり
予防→病気(虫歯や歯周病など)になる前にできること。を考えます。まず、予防するにはその病気の原因がなにかを知る必要があります。虫歯、歯周病の原因は何でしょうか。
虫歯・歯周病の原因とは
一番の原因は、どちらも口の中の細菌です。
口の中に汚れが残っていると、数時間で細菌のかたまりである歯垢(しこう・プラーク)が形成されます。この中に虫歯の原因菌である「ミュータンス菌」と、歯周病の原因になる「歯周病菌」が含まれています。
ミュータンス菌は口移しや食器の共用によって主に親から子に感染します。3歳までミュータンス菌が感染しないように注意をすると、その後口腔内の虫歯菌が増えることは少なく、虫歯になりにくくなります。
しかし細菌だけでは虫歯になりません。虫歯は砂糖などの糖を虫歯菌が分解して酸性の物質を作ることも原因のひとつです。
歯の表面はエナメル質という非常に硬い物質で覆われていますが、エナメル質は酸には弱い物質でもあります。
そのため酸が表面のエナメル質を溶かし、虫歯菌を歯の中に侵入させるのです。
一度侵入してしまうと自然には治りません。


例えると、車の車輪は左右どちらともバランスよく回転することで走れますが、どちらか一方だけではうまく車は走れません。
同様に健康的な口腔の維持には両者が共存することが大切です。
予防することの大切さ
一度治療により治っても、予防しなければ再び新しく病気になってしまいます。
- 虫歯が検診のたびに見つかる
- 取れたところだけや痛いときだけ治療する
- 治療しても治療しても終わらない
上記のような状態では、治療ばかり行っていて予防できていません。
掃除をする時のようにまず蛇口を止めてから拭き掃除をしませんか?
自宅でできる予防歯科【歯みがきの見直しポイント】
歯を磨く回数・時間
歯を磨く回数タイミングはその方の生活スタイルにもよりますが1回より2回、2回より3回寝る前の歯ブラシが最重要です!
ここで皆さんに質問です。いつもどのくらい歯ブラシをしていますか?
歯の本数などで変わりますが、最低でも一回3分行っていただくことが理想的です。さらに5分くらいは頑張りたいところです。
一度時間を図ってやってみましょう。
歯磨き習慣の一例
忙しい朝はササっと、夜寝る前はしっかりと。
テレビを見ながら、スマホしながら、~しながらでもOKです。
歯磨きの粉がたくさん泡立ってしまいすぐにうがいをする人もいますが、その結果磨く時間が短くなってしまいます。
上を磨いたら一度うがいでリセット。その後歯磨き粉も付け直し改めて下の歯を磨くと、一気に磨くよりも泡立ちが少なく磨きやすくなるでしょう。


歯を磨くルートを決めておこう
いつも磨いけているところ、いつも磨けていないところは大体皆さん一緒です。
それは単純にブラシが当たっている機会が多いか少ないかということも関係します。
奥歯の一番うしろ側、外側(頬や唇側)、内側(口蓋や舌側)を上下、左右一筆書きのように順番に進めるとみがき残しを防げます。
例で図示しましたが、これにとらわれず磨き残しが無ければどんな順番でも好きな順番でよいと思います。
また、自分の癖で一番みがき残してしまうところや検診の時に毎回歯石がついている事を指摘されるなどの部位から先にブラッシングするのも一法です。
デンタルフロスや歯間ブラシも使用!
歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が届きにくいため汚れが残りやすい場所です。
汚れは歯ブラシだけでは60%程度しか取り除くことができません。
歯ブラシと併せてデンタルフロスや歯間ブラシを使うと90%近くのプラークを取り除くことができます。
効率よくお手入れをするためにも、毎日のケアに歯と歯の間のお手入れも取り入れましょう。
この様な清掃補助器具は様々な種類や大きさがあります。
持ち手が付いていて片手でも使用できるフロス



使いやすい長さに切って両手に持ち使用するフロス



自分にとってはどんな器具が良いのか歯医者さんで相談してみましょう! また正しく使うために練習が必要なものが多いです。
汚れが残りやすいところや自分の苦手を知る
一般に汚れが残りやすいところは図のような部分です。
しかし人それぞれに磨く癖があったり、歯ならびが違ったり、被せ物があったりするように個人個人での苦手部分を把握することが大切です。
歯垢、プラークは白っぽく歯の色と同様で見分けがつきにくいです。



そこで歯科医院に来ていただいた際に汚れに色を付け視覚的にどこに汚れが残っているのかを見えるようにします。
これでどこに汚れがあるのか自分の苦手をしっかり見ることができます。
小さなお子様にも見た目にわかりやすく歯ブラシへの興味を持ってもらえるきっかけとなります。
まとめ
今回は予防歯科、特に病気(虫歯、歯周病)になる前にできる事についてのお話でした。
原因となるのは細菌です。
この細菌を口の中から完全には排除できません。
これにより日々の自身でのお手入れ(セルフケア)と歯科医院への定期健診(プロフェッショナルケア)が継続的に必要です。
セルフケアのヒントもいくつかご紹介いたしました。
ご質問ご相談はいつでもお待ちしております。
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